台北都市交通システム(MRT)の「松山機場(松山空港)」、「台北小巨蛋(台北アリーナ)」、「龍山寺」、「東門」、「象山」の各駅で13日より、それぞれの駅オリジナルの環境音楽が放送されている。改札口の前のエリアで、毎日午前7時から午後9時までの正時に放送される。1回の放送は10分間。
台北市文化局は台北都市交通システム株式会社と協力し、一昨年から「台北の音の風景プロジェクト」を推進、まず「台北の音の風景」三部作を実現した。第一部では改札口で切符(IC乗車券や青いコイン状のトークン)をかざした際に出る音(IC乗車券の場合は残高が少なくなるにつれて音が変わる)をピアノの音に改めた。第二部では車内で乗換駅や終点駅に着くことを知らせるための音楽を設けた。そして第三部では駅のホームで、列車が到着することを知らせる音楽を放送している。
この「三部作」に加えて、台北市文化局と台北都市交通システムではベテラン音楽家に各駅オリジナルの環境音楽の制作を依頼し、昨年、「淡水」、「中正記念堂」、「大安森林公園」、「小碧潭」、「中山国中」の各駅で放送を開始。そして今年は作品を募る方式で、「松山機場」、「台北小巨蛋」、「龍山寺」、「東門」、「象山」の5つの駅オリジナルの環境音楽を設けることにした。
2カ月にわたる募集期間に集まった作品は447件。そこから選ばれた「松山機場」駅の音楽は「漫遊する旅人」がテーマ。張君慈さんによるこの作品は極めて簡単な二つのメロディが過去と未来を象徴しており、シンプルながらリズム感に富む。
「台北小巨蛋」駅の音楽は「都市の精神」がテーマ。作者の馬一先さんはしっかりした力強いリズムで、都市で生活する人々の活力を表現。素材は台北アリーナで現場録音したもので、それを組み合わせて創り上げた。音楽と駅の空間が虚構と現実の交錯を生み出す。またそこには、乗客が駅に着いて台北アリーナへと向かう興奮と期待の気持ちも秘められている。
「龍山寺」駅の音楽は「伝統の継承」をテーマとしており、作者の張詠橋さんは、エレキギターと中国の打楽器を結び付け、新たな時代と古代の文化の雰囲気を表現した。「象山」駅は「軽やかな足取り」がテーマ。作者の高敏倫さんはギターやマンドリンなどの撥弦楽器を用いて、リラックスして心地よいムードを生み出している。
「東門」駅は「ドラマチックな東門」がテーマ。作者の文尹宸さんと許啓隆さんは二胡で作曲した作品に華麗な編曲を施して、「東門」駅の位置する賑やかな町、庶民の味が集まる場所にあふれる人情味を表現した。